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【コラム】「テコの原理」で暮らしやすい社会を!

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no3

 

Written by 英司(コラムニスト)

 

先日、以前勤めていた広告会社で同僚だった友人と食事をしました。彼もその会社を既に退職し、現在は都立高校の先生をやっています。

 

FACEBOOKなどで彼の近況は見ていたのですが、随分とご無沙汰。彼が僕を食事に誘ったのには理由がありました。それはズバリ、同性愛者の生徒との関わり方について話をしたいとのこと。

 

僕はそういった研修を行うようなお偉い先生や活動家ではなく、かつては悩ましい高校生活を送り、今はフツーの社会でフツーに生きる一介のゲイであるので、あくまでも僕が言うことは個人的な見解であるという断りを入れた上で、喜んでその相談を引き受けた次第です。

 

 

仕事、そして生徒さんに真摯に向き合うかつての同僚に感激

 

会って互いの最近の仕事のことや昔話に花が咲いたところで、その日の本題。現在受け持っているクラスにそれらしき生徒がいるけど、どのように接するのが当事者にとっては安心できるのか、と。

 

そういう課題感を感じて、僕を呼び出した彼は本当に教師として素晴らしいと感動しつつも、いろいろとその夜は熱い議論になったので、その一部を今回は紹介したいと思います。

 

 

「あなただけじゃない」ことを教えるときの注意点

 

同性愛者の人口を測るのはとても難しいが、現在は5%~8%は存在する説が有力であることを伝え、これは40人のクラスに2人はいる計算になる、と言いました。彼もこの数の多さには結構驚いていましたが、こうも付け加えました。

 

ただ、今の言い方をホームルームや授業でそのまま生徒さんの前で言わないで欲しい。なぜなら「この中にいるのかよ~」という悪ふざけを始める男子が必ずいるし、そのとき、まだ悩んでいる当事者はきっと心の中で戦々恐々としているはずだから。と。

 

すごく細かいことだけど、意外と見落としがちな配慮だと、彼も納得していた様子です。

 

 

欧米に行けばパラダイス、というのは幻想

 

実は以前、今は既に卒業した生徒さんの中に、同性愛者であることを打ち明けてきた生徒さんがいたそう。ただ彼は、その時の自分の対応は正しかったかどうか、今でも答えがわからないという様子でした。

 

その生徒さんは非常に海外指向が強く、とにかく同性愛者の理解が進んでいる欧米に行きたい、と。彼もこの「欧米は理解が進んでいる」「欧米は同性愛者が住みやすい」という俗説に何の疑いもなかったそうです。

 

ただ、それはやや誤解された部分がある情報だということを伝えました。

確かに同性婚を国レベルで認めている所や、明確に差別を禁止する法律がある所などを見ると、日本よりも住みやすいように見えるのは当然のことです。

 

ただし、そういった諸々の法制度や仕組みがあるのは、それだけ激しい差別が存在するからで、言い方を変えれば、当事者たちを「法律を使って守らなければならないほどの激しい差別」が存在しているということ。

 

フランスで同性婚に反対するデモに10万人もの人が参加したことや、同性愛者であることを理由に突然暴力を振るわれ、ひどい場合には殺される事件すら欧米では起きていることを伝えると、目を丸くしていました。

 

つまり、外国から見える部分は法律や制度などと言った「オフィシャル」な部分だけであって、その国に生きる人の気持ちや価値観、日常的なリスクなどといった「アンオフィシャル」な情報はなかなか手にいれるのが困難であることも伝えた上で、日本のことも話しました。

 

次ページ >> 日本の同性愛者はそこまで不幸ではない

 


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